M&A「そのときどうする?」

(提供:株式会社ストライク)

株主が複数いるが自分が保有する株式だけ売却したい

Q:株主が複数いる場合に自分が保有する70%の株式だけ売却することはできる?
当社は長年続く革製品の卸売業です。私は筆頭株主で、当社株式の70%を保有していますが、他にも親族内に株主がおり、株式が分散している状態です。自分の保有株式をすべて売却しようと考えておりますが、知り合いの税理士から「株式を取りまとめないと売れない」と言われました。他の株主である親族には連絡することはできますが、本当に取りまとめなければならないのか、取りまとめるにはどうすればよいか、教えてください。
(東京都 卸売業 T・Kさん)

 

A:多くの買い手企業は取りまとめたうえでの譲り受けを希望されます。
未上場企業を買収する場合、多くの買い手企業は100%の株式取得を望みます。3分の2以上の議決権を所有できれば問題ないという考え方もありますが、外部株主がいることによって迅速な意思決定ができないことを危惧し、100%の議決権所有にこだわるのです。もちろん70%だけの取得でご了承いただける買い手企業もいらっしゃいますが、今回はご要望の多い100%取得にどう対応するのか、見当してみたいと思います。

 

分散している株式を100%、売却するにはいくつかの方法があります。
<分散した株式の主要な売却方法>
① 筆頭株主が各株主から株を買い取った(取りまとめた)上で買い手企業に売却する方法
② 各株主からの委任状を筆頭株主が預かり、株主を代表して買い手企業に売却する方法
③ 各株主が個別に買い手企業に売却する方法
④ 譲渡企業が各株主から株式を買い取り、自己株式とした上で筆頭株主の株式のみを買い手企業に売却する方法

 

それぞれメリット・デメリットがありますが、例えば筆頭株主とはいえ、自分たちから親族たちに株式を買い取る話はしづらいという方もいらっしゃるでしょう。そうした場合、上記③の買い手が各株式と個別に交渉する方法や、④の会社が分散した株式を取りまとめる方法のように、筆頭株主が買収をしなくてよい方法もあります。
ただし、実際に一番多く要望されるのは①の筆頭株主による取りまとめです。やはり買い手としては、M&A後の意思決定の迅速化、M&Aの手続きの一本化、株主の権利関係のリスクヘッジを考慮して、基本的に筆頭株主による取りまとめを希望されるようです。また、株式譲渡を求められた親族株主にしても、よく知らない買い手企業と交渉するよりも、筆頭株主が責任を持って取りまとめてくれたほうが心情的に譲渡に応じやすいでしょう。

 

贈与税のリスクや親族内の不和を回避するため取りまとめるタイミングや売買価額が重要になる
筆頭株主、各株主、買い手企業にとって、筆頭株主による取りまとめはWin-Winとなりやすいですが、注意点もあります。それは、筆頭株主が親族株主から株式を取りまとめる際の「株式の売買価額」です。
各株主が過去に株式を取得した頃より、現在のほうが業績がよく、企業価値が高くなっているケースはよくあります。その場合、各株主の取得価額で株式を買い取った上で、買い手企業に現在の企業価値で売却すると、筆頭株主の手元に残る金額は多くはなりますが、筆頭株主側に贈与税のリスクが生じます。また、親族株主から「安く買い叩かれた」と不満の声が上がり、親族内の不和が生じることにつながりかねません。
そうならないためには、筆頭株主はいくらで買い取ればよいのか、またどのようなタイミングで他の株主から買い取りをすればよいのかがポイントになります。それによって、筆頭株主が抱えるリスクや手元に残る金額も大きく変わります。一概にこのようにすれば大丈夫というものではございませんので、ぜひ弊社のような専門会社に一度お問い合わせいただき、ご検討いただければと思います。